アヤメ平 天空を往くが如く

 

尾瀬ヶ原の南側外輪山の尾根道を歩くコース。

鳩待峠から休憩所裏手の急坂を登りきり、「鳩待通り」を進み、藪と樹林を抜けると横田代、そこは広々とした草地斜面。池塘が周囲の木々や空を映して美しい。
空が近くなったようだ。
振り返ると、潅木の向こうに至仏山に連なる山々が続いている。

山越えの風に吹かれながら、尾根道の笹薮を分け入るように進み、中原山山頂1968mを超え、登り返すと、突然、空中草原に入り込む。
広い空いっぱいに湿原が広がっていて、草原の向こうの空に向って木道が伸びている。池塘は空と雲を映すだけ。
どの山も目下にある。目前の燧ケ岳も高山には見えない。風の音が聞こえる。真っ青な空と一体になる。

アヤメ平のウォーキングは、まさに「天空を往くが如く」だ。

 

鳩待峠からのウォーキングコース

アヤメ平へは、鳩待峠が起点になる。

  1. 5時間コース:鳩待峠〜鳩待通り〜横田代〜中原山山頂〜アヤメ平〜富士見田代〜富士見峠(富士見小屋)(折り返し)〜(往路を戻る)〜鳩待峠 全13km
  2.  

  3. 6〜7時間コース:鳩待峠〜鳩待通り〜横田代〜中原山山頂〜アヤメ平〜富士見田代〜長沢新道〜尾瀬ヶ原・竜宮十字路〜牛首分岐〜山の鼻〜〜鳩待峠 全18.5km
  4.  

  5. 7〜8時間コース:鳩待峠〜鳩待通り〜横田代〜中原山山頂〜アヤメ平〜富士見田代〜富士見峠(富士見小屋)〜白尾山〜皿伏山〜大清水平〜尾瀬沼・大清水平分岐〜尾瀬沼湖畔〜三平下〜三平峠〜三平見晴〜一ノ瀬休憩所〜大清水 全20.0km

 

アヤメ平ウォーキングマップ

人通りは、尾瀬ヶ原に比べて、ずっと少ない。初夏の新緑の季節、秋の紅葉の季節の光景が素敵だ。

鳩待峠〜アヤメ平の往路は標高差370mを上る行程。疲労が溜まっているようであれば、帰路は無理をせず往路を戻ること。
鳩待峠までは中原山山頂の登り返しを除けば、急な登坂は無い。鳩待峠まで緩やかに下る木道をゆっくり歩く。往路とは日差しの傾きが変わり、帰路は景色が違って見える。

アヤメ平〜富士見田代から長沢新道を尾瀬まで下り、尾瀬ヶ原の風景を楽しみながら鳩待峠へ帰路につくのは尾瀬の良いとこ取りのコースだが、終点の鳩待峠へは山ノ鼻から標高差200mの急坂を登ることになる。

アヤメ平から富士見田代〜富士見峠〜大清水平〜尾瀬沼〜三平下〜三平峠〜大清水へ抜けるコースは、歩き詰めでも7〜8時間は掛かる。
尾瀬沼湖畔に出れば、尾瀬沼の南側と東から湖面越しに燧ケ岳の雄姿を見ることができるが、富士見峠〜大清水平は藪の深い山道で2つの山のアップダウンがあり、三平峠の登り〜三平見晴〜一ノ瀬休憩所への石ころだらけの山道の下りなど、負担は大きい。

鳩待峠、大清水の出入りについては、別項を参照ください。

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鳩待峠〜鳩待通り〜横田代: 80〜90分 3.5km

アヤメ平へのウォーキングスタート 鳩待峠休憩所

鳩待峠休憩所裏の階段に続く急坂を登る。樹林を切り開いた道で、大きな石ころ、木の根、泥の斜面で、雨後はぬかるみ、すべり、足を取られる。
急坂を登りきると、腰や背丈まである熊笹と草木を掻き分けるような木道となる。
早朝のウォーキングは、腰から下が草露にびっしょりと濡れてしまう。濡れた木道はとても滑りやすいので要注意。

道は、木立の中を、それと気づかぬほどの緩やかな上りが続く。周囲は木立に視界を遮られ、空ばかりが見える。

80〜90分歩き続けると、木立を抜け、急に視界が開け、横田代の端に出る。
目前には、右から左に緩やかに傾斜する広々とした草地が広がっている。初夏の草地は新緑に輝き、秋には虎皮のような縞模様の草紅葉の草地に変わる。
いつ来ても美しい素晴らしい風景だ。

横田代はこの端から小・中・大の湿原が上方に連なった湿原。小さな池塘には周囲の木々と空が映っている。
湿原の中を木道がまっすぐに高く伸びて、右手の高い稜線の向こうは空、左手の低い木々の向こうは尾瀬ヶ原北側の外輪山が見える。

尾瀬特有の開放感に浸りながら、木道を進み、横田代中ほどの木造ベンチに座る。
振り返れば、風雪に耐えた低い木立の向こうに至仏山の姿が見える。八海山、景鶴山(けいずる)、与作岳などが連なって目に入る。
風の音だけが聞こえる静寂の光景だ。

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横田代〜中原山山頂〜アヤメ平: 50〜60分 2.0km

中原山山頂 中原山からの遠望

横田代を横切る木道を登り抜け、笹薮の道に入る。

登りきると、道は左に折れ、熊笹の山道を下り、平坦な尾根を進む。至仏山は後方に隠れ、替わって燧ケ岳が左前方に見えてくる。

行く手には中原山の頂が、笹薮の左は尾瀬ヶ原の北側外輪山の頂が連なっている。日光、会津、越後へ続く山並の景観が素晴らしい。

尾根道を登り返し、20〜30分で中原山山頂に達する。
道の左手の熊笹を背に山頂を示す道標が立っている。このコースの最高所だ。

中原山山頂から少し下って樹林を抜けると、突然パッと視界が広がり、広々とした空中草原のパノラマが目に飛び込んでくる。
草原の稜線の向こうは大空だ。

木道は草の中を天空に向って伸びている。
空に浮かんだ草原の中をアヤメ平へと木道を緩やかに登ると、目前に燧ケ岳が山裾を引いていて、木道はこのまま燧ケ岳へと続いているようだ。
周囲を遮るものはなにも無い。池塘は青空と雲を映すだけだが、実に美しい。そして、この天空の湿原は静寂そのもの。

ただ渡る風の中にたたずんでいるだけで、真っ青な空と自分が一体となるのを実感する。

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アヤメ平〜富士見田代〜富士見峠・富士見小屋: 20〜30分 1.8km

アヤメ平を抜ける木道は下りに差し掛かり、左に巻いて、右が大きく引けた尾根道伝いになる。
右側の深い谷の向こうはどこまでも山並みが連なっている。秋はここから見る紅葉の山肌が美しい。

木道を下って振り返ると後方に片品村が見え、前方に富士見小屋の屋根が見える。
セン沢田代の小さな湿原を抜け、富士見田代に達する。ここの小沼は燧ケ岳のビューポイントで、小さな沼の向こう側の燧ケ岳が水面に逆さまに写って美しい。
静寂がいっそう美しさを引き立てる。

小沼はこのコースの分岐点。
左折して、長沢新道を下れば尾瀬ヶ原に出る。
富士見田代を抜けるとすぐに富士見小屋に着く。この先に富士見峠から尾瀬ヶ原の下田代十字路に下る八木沢道への左折分岐があり、直進すれば、白尾山〜皿伏山〜大清水平〜尾瀬沼への山道となる。

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5時間コース復路

富士見小屋で休憩し、ゆっくりと往路を戻ると、さっき見た景色が変わって見えるのが楽しい。
いくつかのアップダウンはあるものの、木道を鳩待峠へとゆっくり下る行程。
疲労を感じた場合は、無理せず、このコースを復路とするほうが良い。

 

6〜7時間コース復路
富士見田代〜長沢新道・土場〜尾瀬ヶ原・竜宮十字路: 100〜115分 4.2km

富士見代分岐標識

富士見田代の小沼で燧ケ岳にしばし見とれた後、尾瀬ヶ原・竜宮十字路に向って長沢新道を下る。標高差は500m。登山靴が好ましい。

小沼の入り口に分岐の標識柱があり木道が下っていく。この下りの木道は傾斜があって、雨後は注意をしていてもよくすべって転ぶ。

道は樹林の中で、開けた視界は無い。途中、石ころの山道になり、35〜40分で平坦な土場の休憩ベンチに達する。ここは木々に囲まれた空間で、景色は無い。

更に進むと、緩急の下り山道となり、石ころや木の根を踏みながら、どんどん下っていく。

やがて、緩やかな下り道になって右手から沢の水音が聞こえはじめ、長沢と交差して、沢沿いに急な山道を下っていくと、やがて樹間から景色が覗けてくる。
目線の先は尾瀬ヶ原北側の外輪山、その手前下に尾瀬ヶ原の湿原が広がっている。
さらに、山道をどんどん下る。秋は紅葉がきれいだ。道に落ちた赤や黄色の葉に見とれて、歩みを止めてしまうほどだ。

山道が終わり、尾瀬ヶ原に通ずるあたりは湿原で、木道は竜宮十字路までまっすぐに伸びてパノラマが広がる。ここからの尾瀬ヶ原の風情も気持ちが良い。

竜宮十字路は休憩ベンチがあり、トイレは右折した先の竜宮小屋にある。

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竜宮十字路〜牛首分岐〜山ノ鼻: 90〜100分 4.2km

尾瀬ヶ原の中田代の湿原を至仏山に向って伸びる木道を進む。
今までの行程と異なり、人々の往来が多い。至仏山がどんどん大きくなり、振り返ると、燧ケ岳が小さくなっていく。

池塘郡で振り返ると、遠くの燧ケ岳を水面に映した姿が美しい。
秋は、陽光の下で黄金色に輝く草紅葉の中で周囲の山々の紅葉を映した池塘郡の景色が、ひときわ素晴らしい。

やがて湿原が狭くなり、林の中に入るとやがて山ノ鼻の小屋が見えてくる。

 

山ノ鼻〜鳩待峠: 70〜90分 3.3km

山ノ鼻ビジターセンターを後にして川上橋を渡り、木立の中を通り、小さな湿原をしばらく歩く。
川上川渓流に接する地点で木道は左折し、鳩待峠への標高差186mの急坂を登ることになる。
尾瀬ヶ原を歩いた後の登り道はきつい。無理をせず、後から続く人に道を譲ってを先にやり、小休止を重ねながら、ゆっくり歩いて90分程で鳩待峠に着く。

時間に余裕があれば、鳩待峠の休憩所の風呂や、戸倉・片品の温泉で汗を流して帰りましょう。

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7〜8時間コース復路
富士見田代〜富士見峠〜白尾山〜皿伏山〜大清水平〜尾瀬沼
20〜140分 6.0km

富士見峠標識

富士見田代から5分ほど下ると富士見峠(富士見小屋)。

小屋前の広場から、富士見下・片品村に下る道が続いている。この道は小型車が通れるほどの幅がある。
しばらくこの砂利路を行き、富士見下・片品村への分岐を通りすぎ、白尾山〜皿伏山〜大清水平への細い山道へ入る。

深い樹林の中や、腰まである笹や草に覆われた細い道を掻き分けるように歩く。
単調な山歩きのリズムの繰り返しが続き、人の行き交いは無い。熊よけのベルを下げて歩くほうが良いだろう。

道は白尾山・標高2003mと皿伏山・1917mの二つの山への登り下りを繰り返す行程で、景色が楽しめる道ではないし、山道の下りと上り返しがきつい。
皿伏山を越えるとなだらかな下り道となり、大清水平の湿原が開ける。木道が草の上を這うように前方の木立へと続いている。
木立の中は山道で、気が付くと、尾瀬沼の湖面が光っているのに気づく。

 

尾瀬沼湖畔〜三平下〜三平峠〜三平見晴〜一ノ瀬休憩所〜大清水
150〜170分 7.0km

尾瀬沼湖畔の周遊道に合流したら右に折れ、湖畔を三平下に向って歩く。
この木道は小さなアップダウンがあり、水辺に接近する。振り返ると燧ケ岳が湖面に大きく逆さに映って、その影絵を風が吹き抜けた後の小波が散らしているのが美しい。

尾瀬沼東岸から燧ケ岳を望む

大清水分岐から20〜25分の三平下は湖畔に開けた休憩所。なだらかな傾斜にベンチが並んでいる。
ここから約20分で三平峠頂上を抜け、50〜60分で一ノ瀬休憩所、更に50〜60分歩いて大清水に達する。

体力・時間に余裕があれば、三平下〜尾瀬沼東岸〜尾瀬沼ビジターセンターまでの20〜25分の平坦な木道が尾瀬沼湖畔を歩くと良い。
湖畔のニッコウキスゲの向こうに尾瀬沼に姿を映した燧ケ岳が絵になる光景だ。
夏には、コオニユリやアザミが光景を引き立てる。

三平下から三平峠までは木道と木の階段を上る。
すぐに道は樹林の中に入り、振り返ると樹間に眼下の尾瀬沼が遠くなっていく。三平峠までは短い登りだが、三平峠から、一ノ瀬休憩所〜大清水までは延々と下りの山道となる。
大清水から尾瀬沼目指して息を切らして登る人と行き交う。

樹林を抜けると、三平見晴らしへは開けたゆるい勾配の尾根道が続く。
三平見晴らしから先は、樹林の中の十二曲がりと呼ばれるジグザグ急坂の山道を下る。腰、腿、膝、足首への負担が大きくなる。
木の根や石、ぬかるみに注意を払って、急がずに下山する。階段状の木道、冬路沢の丸太端を渡り、山道から広い平坦な道に出て、片品川に掛かるコンクリート橋を渡ると、一ノ瀬休憩所に着く。
飲み物・軽食のほかに、季節の果物や野菜を冷水に浮かべて販売している。

一ノ瀬休憩所〜大清水は3.5km、両側が木立、変化の少ない幅広の砂利道を、50〜60分ゆるゆると下る。
通行規制の遮断機を通ると大清水。みやげ物店と駐車場が並ぶ。

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